国鉄再建監理委員会答申

*******鉄道の未来を築くために*******
昭和60年7月26日
日本国有鉄道再建監理委員会
再建監理委員会委員
委員長 亀井 正夫  住友電機工業椛纒\取締役会長
委員 加藤 寛 應義塾大学経済学部教授
委員 隅谷 三喜男 東京女子大学学長
委員 住田 正二 (財)運輸経済研究センター理事長
委員 吉瀬 維哉 日本開発銀行総裁
肩書きは当時のものです。 住田 正二氏は、初代JR東日本社長です。

はじめに

  1.     当委員会は、日本国有鉄道の経営する事業の再建の推進に関する臨時措置法に基づき、国鉄事業に関し効率的な経営 形態の確立のための方策を検討することを任務として、昭和58年6月10日に発足し、以来2年余りの間にわたり、130回を 超える審議を重ねた。
      この間、国鉄及ぴ政府の関係機関ほもとより、交通問題に関する専門家、私鉄経営者、地方公共団体、国鉄の各労働組合等から可能な限り広く意見を聴くとともに、数次にわたる現地調査を実施し、効率的な経営形態の確立のための方策についてあらゆる角度から検討を行った。

  2.     国鉄改革の意義は、破綻に瀕している国鉄を交通市場の中での激しい競争に耐え得る事業体に変革し国民生活充実のための重要な手段としての鉄道の役割と責任を十分に果たすことができるよう国鉄事業を再生させることである。
      当委員会はこのような認識に立ち、そのための最も適切な改革の方策を模索してきた。
      その際、改革の基本的な方向を決定するに当たってほ国鉄の危機的状況を招いた真の原因を解明した上でその原因を除去し得る最も適切な方策を立案する必要があるので、原点に立ち返って審議を重ね、改革の基本的方向を決定するまでに前半1年余りを費やしたところである。

  3.     このような審議を童ねた結果、国鉄の経営が悪化した最大の原因は、公社という自主性の欠如した制度の下で全国一元の巨大組織として運営されている現行経営形態そのものに内在するという認識に到達した。過去の数次にわたる再建策がいずれも失敗に帰したのはこの問題にメスが入れられなかったことに由来するものである。
      現行制度を前提とする過去の延長線上の対症療法により国鉄事業の再生を図ることほもはや不可能である。全国一元の巨大組織としての公社という経営形態そのものを抜本的に改革することによってはじめて国鉄事業の再生が可能となると考える。

  4.     このような認識の下に、当委員会は、国鉄改革の内容として、現行経営形態を改め分割・民営化することを基本とし、あわせて、巨額の債務等について適切な処理を行い、過剰な要員体制を改め、健全な事業体としての経営基盤を確立した上で、国鉄事業を再出発させることを骨子とする改革案をここに提出する。
      この改革案が適切に実施されることによって国鉄事業が健全な姿で再生し、活力ある経営の下でその人材と財産の持っている能力と価値が遺憾なく生かされ、鉄道事業の持つ公益性が真に発揮されるようになることを確信するものである。

  5.     国鉄の破綻した経営を放置することはもはや一刻も許されない。速やかにこの改革案を実施し抜本的措置を講じなければ、巨額の赤字が年々累増するばかりでなく、近い将来事業そのものの維持運営に支障が生ずる事態も現実のものとなりかねない。
      そのような不幸な事態を回避するためには、国鉄経営の抜本的改革を勇断をもって速やかに実行しなければならない。

  6.     もとより国鉄改革は難事業である。この大改革は、各方面の多大の支援と全国民の協力によってほじめて成し遂げられるものである。これが実現することによって国鉄の事業と職員の将来に展望が開けることを考えると、国鉄は、労使相協力し、一丸となってこの難事業に取り組まなければならない。
      国会及ぴ政府は、この大改革を国政上の最重要課題としてとらえ、速やかに断行されるよう要請する。
      また、地方公共団体には、地域の立場からの積極的な協力を要望する。
     国民各位におかれても、当委員会の意図する国鉄改革の意義を十分に理解され、最大限の御協力を頂くようお額いする。
      変革の苦しみを乗り越えて国鉄の過去を清算し、将来にわたり鉄道の役割を十分に果たし得る体制を確立して、100年の歴史を有する国民的財産を健全な姿で次の世代に引き渡すことが我々の世代の責務であると考える。


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